「判断力」を鍛えれば人生が変わる(2)

前回の続きです。

判断力を身につけるためには
では、判断力はどのようにすれば身につくのでしょうか?
今回は、判断力の構成要素を分解して、それぞれについて対応を考えてみます。

下の図を見て下さい。
まず、判断には大きく分けて3つのフェーズがあります。

・『インプット』…情報が入ってくる
・『判断』…判断基準に照らして考える
・『アウトプット』…結論を選択する


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それぞれのフェーズでは、次のような要素が必要になります。

インプット:「①判断の場面を認識する力」

判断が起こるのは、トリガーとして何らかの情報が入ってきた時です。このとき脳は「今こそ判断の場面だ!」と認識します。この認識が生まれなければ、そもそも判断という行為自体が起こりません。判断のトリガーに気付かない人は、人生において自分で方向性を決められたはずの場面を漫然とスル―してしまいます。

判断:「②判断の根拠となる基準」

判断は、自分なりの基準に照らして行われます。基準は人によって違います。思想・宗教・経験・環境など、様々な要素がこれに影響します。この基準のうち、多くの人に共通する部をアダム・スミスは「道徳」と呼びました。この基準があまりに偏っている人は、ロクな判断ができません。

アウトプット:「③結論の選択肢」
判断の結果、何らかの結論を導くことになります。その結果が「好き」「嫌い」のような二元論であれば楽ですが、人生はそんなに単純な判断だけではありません。多くの場合、複数ある選択肢の中から一つを選ぶことになります。この時、選択肢の引き出しが少ない人は、最良の選択をすることができません。


はい。つまり、これら①~③の要素を鍛えれば、判断力は向上するということですね。
では、具体的にどのような鍛え方があるか、考えてみましょう。


①判断の場面を認識する力
判断の場面に気付くには、日頃から「判断していること」を意識していなければなりません。 そのためにやるべきことは、次の2つ。

1.自分が判断する場面を与える
2.自分の判断で結果が変わったという経験をさせる


例えば、子どもと一緒にどこかのお店に入ろうとする時。 子どもの手をひいてそのまま入るのではなく、「このお店に入る?」と聞いてから入る。 もし子どもが「入らない」と答えた場合は、(仮に入るつもりであったとしても)本当に入らない。その場で説得したり理由を聞いたりアドバイスしたりするのはNGです。 完全にその子の判断に委ね、結果を経験させるわけです。こうすることにより、子どもは自分が下した判断の重みや威力を実感します。判断する経験を積めば積むほど、子どもは「世の中には自分で判断できることがたくさんあるんだ」と感じられるようになります。そんな風に感じれば感じるほど、「判断のトリガー」に対してますます鋭敏になり、判断の場面を見逃すことは無くなっていきます。

②判断の根拠となる基準
判断の基準を鍛える方法としては、「親の判断基準とのすり合わせ」という方法が最も効率的です。子どもがした判断に対し、親が「同じ立場だったら私はこう判断する」という結果とその理由を示し、親子のギャップを一緒に考えるという作業です。先程のお店の例で言えば、子どもが「入らない」と答えた時、その場はお店に入らないようにします。そして、その日の夜にでも理由を聞いてみるのです。子どもは「だってあのお店は汚かったから」などと言うかもしれません。理由を聞いた後で、親は「自分なら入ったな」と言って、その理由を言います。「なぜなら、あのお店の人は親切だから」などといった理由かもしれません。二つの判断結果と理由を並べると、お店に入るかどうかの判断基準は「汚いかどうか」だけでなく「店の人が親切かどうか」という視点もあると気づくわけです。こうして、親が「私はこうしたであろう。なぜなら…」を繰り返すことによって、子どもは自分の判断基準と親の判断基準の違いを理解しながら自分の判断基準を向上させていくわけです。ここで注意しなければならないのは、親の「私はこうしたであろう」は、擦り合わせの作業であって、答え合わせではないということです。一番やってはいけないのは、「お前はこう判断すべきだ」と強制したり、「お前の判断はダメだ」などと批判したりすることです。強制・批判することは、「自分の判断基準なんか持つな」ということと同義ですから、真面目な子ほど自分の判断基準を持たなくなります。自分の判断基準がない子は、借り物の判断基準を使うために判断がブレやすくなってしまいますし、「自分で判断した」という納得感の得られない人生を送ることになります。

③結論の選択肢
結論の選択肢を増やす方法はシンプルです。少しでも多くの世界を知ること。これだけです。 世の中には色んな世界があって、色んな人が居ます。世界を見て、人と会う。この経験をすればするほど、人生の選択肢が豊かになっていきます。世界を知る方法は何でも構いません。旅行でも、映画でも、本でも。とにかくたくさんのものを見せてあげることです。 人に会わせる方法も、何でも構いません。とにかく多様な人に会える環境を作ってあげることが重要です。歴史上の人物についての話を聞かせてあげることも一つの方法ですね。


以上のように、判断力を鍛える方法はフェーズによって違います。 自分の子供にはどの要素が必要か、注意深く観察したうえで、その要素を伸ばすトレーニングをぜひ実践してみて下さい。


ちなみに… 判断力を強化するためのトレーニングは、ビジネスの世界でも役に立ちます。
『判断力のある部下』を育てたいと思っている上司も、ぜひ、部下の方にこのトレーニングを実践してみてあげて下さい。自分で考え、判断できる社員になってくれるでしょう。


以上。


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