給料が上がらない時代3

前回の記事では、給料が年代別で見てどのくらい減っているのかを示しました。
しかし、「給料が上がらない」と言われても、若い世代の人なんかは、毎年給料が上がってますよね。ですから「毎年、全体の給料が下がってることは分かったけど、俺の給料はどうなるのよ?」と思った人も多いかと思います。

そこで、今回は次の3人登場してもらい、それぞれの給料がどのように変化したかを見せるとともに、その3人の傾向を使って人生の収入推移を見てみましょう。

これも、なかなか衝撃的ですよ。なぜ、この記事のタイトルが「給料が上がらない時代」であるか、よく分かっていただけると思います。

さあ、それでは行きましょう!

3人の登場人物
1.リク(25歳)
社会人3年目、少しずつ仕事にも慣れてきた。恋も仕事も頑張る若者。年収は378万円。
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2.ヒロシ(35歳)
社会人13年目、社内でも管理職に登用されバリバリ働いている。不摂生で少しおなかが出てきた。年収554万円。
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3.タロウ(45歳)
社会人23年目、社内では部長を務める。子どもは中学生で反抗期。年収は653万円。
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この3人は、いわゆる日本の平均的な社会人です。このプロフィールは、2004年時点のものですね。
では、彼らの給料がその後の5年間でどのように変化するのかを見てみましょう。



リクの給料
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リクは25歳。若手社員ですから、給与の上昇幅も大きめです。この5年間で給料が49.6万円アップしました。年間にすると約10万円の年収アップですね。
そうです。いくら給料が下がっているといっても、彼くらいの年代であれば、毎年10万円くらいは給与が上がるのが普通なんですね。ま、初任給が安いわけですから、当たり前といえば当たり前です。月額の給料で考えると、毎年1万円ずつ月給が増える感じですね。


ヒロシの給料
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次にヒロシです。ヒロシは35歳。中堅社員ですから、既に年収は550万円を超えています。彼もここ5年で給料がアップしました。ただ、リクほど給料が上がったわけではありません。5年間で25万円、毎年約5万円の年収アップです。かなり上昇幅が小さくなりましたね。月額で換算すると、35歳から40歳までの5年間、彼の給料は毎年5,000円ずつしか昇給しなかったことになります。


タロウの給料
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最後にタロウです。45歳。ここから5年後に給料はどうなったのでしょうか?
何と、50歳になったタロウは給料が下がってしまいます。毎年5万円ずつ年収が落ちて行き、5年間で24万円も年収が下がってしまいました。月給ベースで2万円も落ちてしまったのです。
中学生で反抗期だった息子は大学生になり、大学受験と入学金でものすごいお金が吹っ飛びました。これまでコツコツ貯めてきたお金がなかったら危なかった。


右肩上がりの時代は終わった
45歳のタロウは昇給するどころか、給料が下がってしまったのです。この3人は平均的な日本人ですから、それはつまり、日本人の給料は45歳以降は下がる一方だということなのです。これが、今の日本の現状なんです。皆さん、知ってましたか?
日本人の給料は右肩上がりだと思っている人がいまだに多いのですが、ここ15年で給料はどんどん落ち込み、もはや右肩上がりとはほど遠い状態になってしまったのです。

わかりやすいように、グラフで説明しましょう。
これが、15年前(1997年)時点での平均的な日本人(男性)の給料の推移です。このころは、年が上がるごとに給料は上昇していき、55歳までは上がり続けます。ちゃんと右肩上がりだったんですね。
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次に、これが今の平均的な日本人(男性)の給料の推移です。40歳~45歳がピークで、その後給料は上がりません。右肩上がりではなく、ふつーの山になっていますね。これが現実です。(国税庁のデータには5歳ずつの年齢階層しかなかったので、少し山がガタガタしていますが、毎年のデータにしてもこの形はほとんど変わらないと思います。)
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つまり、こういうことです。
15年前までは、55歳まで給料が上がるのが普通でした。
仕事人生を4つに分けると、最後の1期まで給料が上がり続けるという人生モデルでした。だから、30年の住宅ローンも組めたわけですね。
こんな感じ。
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しかし、今は給料が上昇するのは仕事人生のうち半分だけ。残りはずーっと下降し続けるのです…。厚生労働省の定義では、45歳以上を「中年」と呼ぶらしいですが、中年はもう給料も上がらない人たちなんですね。
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僕らはどうやって生きていくべきか
この記事のタイトルが、なぜ「給料が上がらない時代」だったか、少し分かっていただけたかと思います。15年前と比べて、日本人の給料はもう上がらなくなってしまいました。現在50歳以上の方は何とか逃げ切れますが、それ以下の人はこの「給料の上がらない時代」を生きていかなければならないのです。

ん?
なになに?「いまは震災とかユーロ危機で不況だけど、景気が良くなれば上がる」って?

そんなことは絶対にありませんよ。
以前の記事「日本人の給料はもう上がらないんです」でもご説明しましたが、先進国労働者の給料が下がるのはグローバル化現象です。現に、戦後史上最長と言われた「いざなみ景気」は、2002年~2008年ですよ。上にあるリクとかヒロシの図でその期間の給料上昇率を見てください、ほとんど上がっていないでしょう?史上まれにみる景気拡大でも、給料はほとんど上がらなかったんですよ。今後景気が良くなったからといって、右肩上がりの時代が戻ることはありません。さらに言えば、今回の給与推移データは1997年~2010年で傾向を取っています。つまり「ほぼ半分を景気拡大が占める」期間のデータを使ったわけです。だから、この記事のシミュレーションは決して過度に悲観的に見せているわけではないんですよ。むしろ今後は、もっとすごい勢いで落ちるかもしれません。だって、東日本大震災もユーロ危機も今回の材料には入っていないんですから。

…すみません。話がややそれました。
給料が上がらない時代に僕らが気をつけなければならないことは、右肩上がりの給料を前提に作られたシステムに惑わされないこと。です。例えば、次のようなものがあげられます。

住宅ローン
住宅ローンは、年々給料が上がっていくことを前提に作られています。だから、30歳の人が30年ローンを組んでも大丈夫だったんですね。しかし、今は給料は増えないんです。だから長い期間の住宅ローンなんて愚の骨頂です(ちなみに僕は35年ローン…涙)。給料ギリギリでローンを組むと、本当に破たんしてしまいますよ。

生命保険
生命保険は、家の次に高い買い物だと言われています。生命保険も、更新型と呼ばれる商品は、給料が右肩上がりであることを前提に作られており、年齢が上がるほどに掛け金が上がっていきます。でも、45歳以上は給料が上がらないんですから、掛け金が上がっていったら大変ですよね。生命保険に入るときは、自分の給料が上がらない点も考慮したうえで無理のないプランにしましょう。

子供の教育費
お子さんがいる方は、教育費のことも考え直さないといけません。
一般的に、子供の教育費が最もかかるのは、大学受験~卒業までの5年間と言われています。例えば、30歳で子供を産んだとしたら、47歳~52歳が最もカネのかかる時期になるわけですね。
15年前なら、この時期にはまだ給料はアップし続けていましたから、全然問題なかったのですが、今は45歳から給料が下がり続ける時代です。最もカネのかかる時期に、給料が減っていく、これはキツイですよ。学費が払えなくて大学に行かせられないということが、ホントに起こってしまうかもしれません。教育費は、給料が上昇している時期にきちんと準備しておく必要があるでしょう。

このほかにも、右肩上がりが前提になっている制度やシステムはたくさんあります。給料が上がらない時代には、これらの仕組みはあなたを破たんに追い込むかもしれません。しっかり現実を認識して、賢い人生を送りましょうね。


給料は毎年3%上がる?
最後に、給料の上昇率との比較のグラフを載せておきます。
よく、不動産屋さんとか保険の営業の人に会うと、あなたの年収を聞いてきて、「給料は毎年どのくらい上がると思いますか?」とか言ってきます。そして、「まあ、一般的にはだいたい3%くらいって言われてるんですけど、ちょっと保守的に見て2%にしときましょうか?」とか言ってくることがあります。でも、その情報は古いですからね。そういう人には、ぜひこの図を見せてあげて下さい。

15年前の人は、確かに毎年3%近く給料が上昇していました。
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でも、今の推移と比べてみてください。3%とか、あり得ない感じでしょう?
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2%なら、まあ現実的になりますが、保守的とは言えないですよね。先ほども書いたとおり、このデータの期間のうち半分が「いざなみ景気」で、震災もユーロ危機も入ってないんですから…。
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給料は上がらない
最後にもう1度繰り返します。
給料が上がる時代は、終わったんです。
いい会社に入ってしまえば、後は自動的に給料が「上がる」ということはもうありません。普通にしているだけでは、40歳でほぼ昇給が止まるのです。ですから、給料は自分で能動的に上げない限り、上がることはありません。

僕たちは、そういう時代に生きているんです。

こういう現実をしっかりと自覚し、地に足をつけた生活をしていくことが重要なんですね。
そして自分の給料を上げたい人は、常に自分を磨き、価値を高める努力をしていかなければならないですね。

厳しい時代になりつつありますが、そんな時代でも人生を楽しめるように、頑張りましょう!




以上。
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