「最後通牒ゲーム」~誠実な人が成功する理由~

「曲がったことは絶対に許さない」という空気
最近、メディアで“社会正義”が濫用されているなーと感じたことはありませんか?
大相撲の話もそう、小沢さんの話もそう、グルーポンの話もそう、海老蔵氏の話もそう。

最近メディアで騒がれているこうした話題の共通点は、「『曲がったことは許せない』という国民感情がメディアの力により増幅されて、当事者でもない人たちが怒って声を上げる」という構図です。

なぜ、当事者でもない人たちがこうも感情的になるのでしょうか?
「相撲の八百長は許せない」という人は、相撲に八百長があったら何か困るのでしょうか?
いつも相撲で賭けをしている人だったら、自分が賭けた力士が八百長で負けたら困るとは思いますが、そんな人はいませんよね?テレビで相撲を見ている人だって、八百長が嫌なら見なければいいだけの話。大した損失は被りません。

なのに、なぜみんなは八百長を許せないのでしょうか?
自分にとってほとんど影響のないことなのに、なぜ「ブログに批判を書く」「友達と批判めいた話をする」「苦情の電話を入れる」といった労力をわざわざ割くのでしょうか?ブログを書いたりするのは時間がかかります。自分に実害のないことのために、わざわざ自分の貴重な時間を差し出すのです。

なぜなんでしょう?

最後通牒ゲーム
これは、経済学的に説明のできない「人間の行動心理」なんだそうです。
皆さんは「最後通牒ゲーム」というものを知っていますか?



「最後通牒」とは、
紛争当事国の一方が、平和的な外交交渉を打ち切って自国の最終的要求を相手国に提出し、それが一定期限内に受け入れられなければ自由行動をとることを述べた外交文書(by:Goo辞書)のことです。

ま、要は「最終の交渉」ってとこですね。
どんなゲームかというと、次のようなゲームです。ぜひあなたもお友達と試してみてください。



◇ ◇ ゲームの概要 ◇ ◇

二人一組でやります。

役割は二つ。
 A.提案者
 B.承認者
f0226518_18201145.gif


ゲームの流れは次の通り
1.まず、Aさんに千円を渡します。この千円をどう分けるかというゲームです。
f0226518_18202371.gif

2.Aさんは、受取った千円をBさんとどう分け合うか、お互いの取り分を決めてBさんに提案します。
f0226518_18203311.gif

3.Bさんは、Aさんに提案された金額で「OK」か「NG」かを決めます。
f0226518_18204668.gif

4.BさんがOKすれば成立。AさんとBさんは(Aさんんお提示した金額を)受取れます。
f0226518_18205798.gif

5.BさんがNGといえば、AさんもBさんもお金は受取れません。没収されます。
f0226518_18214193.gif

f0226518_18225592.gif

6.交渉のチャンスは一度きり、AさんもBさんも途中で変えることはできません。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

このゲームをやるとき、あなたがAさんだったらどうしますか?できるだけたくさんのお金をもらいたいですから、やっぱり自分の取り分を1,000円にしてBさんの取り分をに0円にしたいですよね?でもBさんは、自分の取り分が0円だったら、絶対に賛成してくれません。

では、Aさんが「しょーがねーな」ということでBさんに1円をあげるとしたらどうでしょうか?Bさんからしてみれば、取り分は少ないですから「NG」と突っぱねたいところですが、そうすると自分の取り分も没収されちゃいます。没収されて0円になるよりは、1円でもらえた方がマシですよね。だから、Bさんは「OK」する方が得なんです。

そう考えると、Aさんのベストな提案は「自分の取り分を999円にしてBさんの取り分を1円にすること」でしょう。そうすればBさんに与えられた選択肢は「1円(OK)か0円(NG)か」ということになり、当然Bさんは1円(OK)」を選ぶだろうというものです。だって「NG」っていったら1円ももらえませんからね。

これは「ゲーム理論」という学問の中で出てくるケースの一つなのですが、このゲーム実際にやってみると面白いんですよ。

実際Bさんの役になった人で、1円で合意する人なんてほとんどいません。たいていの場合、BさんはAさんの提案を却下します。

Aさんだけ多くもらうなんてずるい。だったら自分の取り分がなくなってもいいから道連れにしてやる~!
って考えるんです。

Bさんにとってみれば、その選択は損失以外の何ものでもありません。黙って「OKです」と言っておけば1円もらえたのに・・・。でも、その気持ちよく分かりますよね。人間って、不公平な結果を許すくらいなら、自分が損をしてでもそれに制裁を加えたいと思うものです。

これは「経済合理性」で説明できない人間の行動の一つであり、経済や市場はこうした行動を理解できないために、しばしば振り回されてしまいます。

でも、考えてみればこれって、誰もが理解できるようなすごく人間らしい感情ですよね。
マスコミはより多くの視聴者を惹きつけたいので、こうした感情をくすぐって視聴者の心を釘付けにしようとするんですね。「こんなことが横行しているんですよ!許せないでしょう?」と。

まとめ
僕がここで記しておきたいのは、「マスコミひどいでしょう!だまされちゃいけませんよ!」ということではありません。「こういう感情を持つのが人間であり、その感情によって人間は非経済合理的な行動を取ってしまうものだ」ということを理解しておくと、人生にとって有益だと思いません?という話です。

経営者や政治家など、トップに立つ人は哲学・歴史・論語などを好んで勉強します。彼らのように実学をある程度究めた人がそうしたものを通して新たに学びたいと思うのは、「人間の行動」そのものなんでしょう。彼らは経験的に「人とは、いつも合理的に行動するわけではない」ということを知っており、それによって引き起こされる想定外の出来事を少しでも減らそうと思い、歴史から人を学ぼうとするのかもしれません。

そして、彼らは人の非合理な行動に通ずる3つの事実に達するのです。

事実1.人は、自分に害があるないに関わらず、曲がったことが許せない。
事実2.人は、自分が多少損をしてでも、その曲がったことを正そうと行動する。
事実3.人間が作り出す社会である限り、この原理からは逃れられない。


この1~3の事実によって、世の中は「曲がったことをする人」はなかなか成功できないんですね。だから、帝王学でも成功哲学でもまず「誠実であれ」っていうんでしょう。誠実であることがちゃんと報われるように、世の中はデザインされているんです。大したもんですね。

この仕組みを知っているか知らないかで、人生に対する姿勢が変わってくると思いませんか?


僕も、明日から誠実に生きようっと…。


以上。
[PR]