「最近の若者には夢がない」の理由

先日、美容室に行きました。
いつも切ってくれている人は、その道20年以上のベテランで、雑誌・テレビ・映画などのヘアメイクなどもやる売れっ子美容師さんです。

そんな彼女(美容師さん)が、こんな話をしていました。

「最近の子たちはみんなマニュアル人間。」
「自分から動かないし、自分から聞かない。」
「みんな、野心というか夢がないんだよね。」


これを聞いて驚きました。
最近、僕の会社のベテラン営業マンも全く同じことを言っていたからです。
彼はウチの会社で常にトップセールスとして君臨している営業マンです。その彼も、最近入ってくる若い人に対して同じ印象を持っていました。

さらに、以前あった人材紹介会社の担当者も、ほとんど同じことを言っていました。

最近の若者像についての話は、ビジネスの世界では良く聞きますが、美容師というプロ・職人の世界でも同じ現象が起きているのにびっくりしました。


【夢のない美容師?】
そもそも『美容師』って、役者や歌手と同様、夢があるからなる職業なんだと思っていました。

地元の工場で働くのは嫌だ、東京でおしゃれな生活がしたい
テレビや雑誌に出たい
芸能人に会いたい
売れっ子になって表参道に店を持ちたい
お金持ちになりたい

みんな、そんな夢を持って美容師になるのかと思っていました。

友人に美容師がいますが、それはそれは大変な世界です。
立ちっぱなしの肉体労働、夜は遅くまで練習、休みは変則、給料は安い、そして人間関係は難しい。
それでも彼が美容師になったのは、「将来、地元に原宿にあるような店を作って、地元人が原宿に行かなくても同じくらいおしゃれな髪型になれるようにしたい」という夢があるからだと思います。

なぜ、「最近の若者」には夢を見られなくなってしまったのでしょうか?



【2つの原因】
僕なりにいろいろ考えてみましたが、原因が2つ浮かんできました。

1.夢を見るだけの動機がない。
2.情報の増えすぎでリスクが見えすぎる。


です。
つまり、最近の若者は社会の裏側が見えすぎているから夢がないマニュアル人間になってしまったのです。

ちょっと、最近の若者が学生時代に起きた出来事を取り上げてみます。


【時代背景】
僕は30代ですが、僕が高校生になるころには、バブルはすでにはじけていました。
多くの人がリストラに追い込まれ、転落人生がニュースで毎日のように放送されていました。友人の中には、親の会社が倒産した人もいました。

このころ、「モーニング娘。」の「LOVEマシーン」という曲が大ブレイクし、「日本の未来を世界がうらやむ…」というフレーズをみんなが口ずさんでいましたが、結局日本の未来は世界がうらやむようなものにはなりませんでした。

このころITバブルと言われる流れがあり、ホリエモンは時代の寵児として、成功者の象徴としてもてはやされました。僕も、ホリエモンがオン・ザ・エッジ社長だった時に話を聞きにいったことがあります。彼のような成功者になりたかったのです。しかし、彼は検察に嫌疑をかけられ、奈落の底に突き落とされました。

大学生時代は「就職氷河期」と言われ、厳しい選別を受けました。学生たちは面接セミナーやエントリーシート書き方講座の本を読んでアピール方法を学び、就職を決めていきました。我流で臨んだ学生多くは、選考過程で落ちました。落ちた学生の顛末も、ドキュメンタリー番組で何度も目にしました。

熟年離婚が話題になり、年金問題や老老介護の番組も毎日のように特集されました。
僕たちは「モーレツサラリーマン」として頑張った団塊の世代の結末がどうやらハッピーエンドではなかった、ということも体験しました。

小泉さん以降の政党は、マスコミと国民にボコボコニ叩かれ、短期間のうちに辞任。辞めたら辞めたで無責任と罵られました。


・・・今40代・50代の皆さんが、この時代を学生として過ごしたら、果たして夢を持てるでしょうか?


【見えすぎるリスク】
バブルを知らない、不況が当然の時代。
かといって貧困も知らない。
「金持ちになりたい」、「有名になりたい」と思うきっかけはあるが、夢と力のある著名人が次々につるし上げられ、落ちてていく様を目にして、リスクを取ることに及び腰になる。熟年離婚のニュースを聞いて、頑張ってもそれほど幸せにならないこともあるのだと不安になる。
将来はリスクがいっぱい。夢はどんどんしぼみます。

情報が多すぎてリスクが見えすぎてしまうことは、問題です。
例えば、就職活動では「勘違い野郎」と思われて落ちるリスクや「暗い人」と思われて落ちるリスクが怖い。
そこで学生たちはリスクを極力回避するために“落ちないエントリーシート”を書き、“落ちない面接”を展開します。思い切ったことを書いて落ちるよりは、ある程度のポイントを押さえて、その枠の中で個性を表現したほうが安全だと考えるのです。

だって、落ちた後に待っているのは「ドキュメンタリー ~漂流する就職氷河期世代~」の世界なのですから。

最近の若者たちは、情報が増えすぎたことで、大きなリスクを取れなくなってしまったのです。


【まとめ】
まとめると、次のとおりです。
 
・経済成長期の活気を知らず、それをイメージできない。
・著名人、親世代の顛末を見て夢がしぼむ。
・情報があふれ、あらゆるリスクが想定できてしまうせいで、無難な道を選ばざるを得ない。

この結果、先輩世代からは「夢のないマニュアル人間」に見えてしまうのでしょう。
今の若者は、先輩世代の何倍もリスクを感じ取っているのです。彼らがマニュアル人間なのは、この時代を生き抜くのにそれが最も適しているからです。


【解決法はあるのか?】
とはいえ、夢がないことやマニュアル人間しかいないことは日本の経済にとって大きな問題です。
どうしたら、夢を持てるのでしょうか?

個人的には、親や学校が「夢を具体的に語らせる教育」をすることだと思います。

イチロー選手の小学校6年生の作文があります。
彼は6年生の時点で既に夢を具体化していました。夢が具体的になれば、後は努力するだけです。
努力のモチベーションも他の人よりずっと高かったはずです。


ぼくの夢は一流のプロ野球選手になることです。
そのためには、中学、高校で全国大会に出て、活躍しなければなりません。
活躍できるようになるには練習が必要です。
ぼくはその練習には自信があります。
ぼくは3歳の時から練習を始めています。
3年生の時から今までは、365日中360日ははげしい練習をやっています。
だから1週間中、友達と遊べる時間は5~6時間の間です。
そんなに練習をやっているんだから必ずプロの選手になれると思います。
そして僕が一流の選手になって試合にでれるようになったら、お世話になった人に招待券を配って応援してもらうのも夢の一つです。(イチロー選手の作文より)


大人も、夢を語らなければならないと思います。
就職面接で、学生の夢を聞いてみるというのも、良いかもしれませんね。
夢を口に出すことは、夢を叶えるために最も大切なことだといいますからね。

長くなり過ぎたので、このくらいにします。

以上。
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