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前回の続きです。(このお話はフィクションです)

◇  ◇  ◇

野田総理大臣が出した資料は、『日本の国家予算(歳出)』と書いてあるA4横のパワーポイント資料でした。そこには非常に簡単なグラフが幾つか並んでいました。

「ところでさ、日本政府の仕事って、何だと思う?」

おもむろに野田さんが尋ねます。


「えっ? 日本政府の仕事…ですか?」

資料に目を落とした瞬間に唐突な質問を受けたので、あなたは少し当惑します。でもすぐにじっくり考えてみようと少し沈黙しました。何しろあなたがこれから回答しようとしている相手は日本政府のトップ、総理大臣なのですから。

「うーん、例えば…」


「うん、例えば?」

野田さんは、まるで犬が飼い主にボールを投げてもらうのを待っているかのようにじっとあなたの目を覗き込んでいます。

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日本の財政がいよいよ厳しさを増してきました。
そろそろ消費税を増やさなければ厳しいというところまで来ましたが、反対意見も多いようです。政治家の間でも、財政問題は東日本の復興と並んで最重要課題であり、毎日のように激論が交わされています。

では、ここでちょっと考えてみましょう。
もしあなたが日本の総理にアドバイスする立場になったら、この国の財政をどのように立て直すよう助言しますか?

自分が立て直しをする立場になると、また色々なことが見えて来るかもしれません。


 ◇  ◇  ◇


ある日、あなたの携帯電話に突然1本の電話がかかってきました。

「はい、もしもし?」

あなたが電話を取ると、それは学生時代に世話になった教授からでした。

「ああ、○○くんかね。実はいま、永田町の料亭で政治家の先生と話をしているんだよ。急で申し訳ないんだがひとつお願いがあるんだ。来週の日曜日、永田町まできてくれないか?ああすまないね。これから集合場所をメールしておくよ。」

「は…はぁ。」

なぜ突然、教授からそんな連絡が来たのかワケが分かりませんでしたが、たまたま日曜日は予定もなかったので、あなたは教授の誘いに乗ってみることにしました。

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前回の記事では、「1.オリンパスが浄化されたのか」「2.オリンパスは債務超過ではないのか」などについて書きました。今回は、思ったことの続きを書きます。

3.メディアのジャーナリズムは信用していいのか?
⇒もう信用できません。
東京電力の原発事故で、テレビや新聞などの巨大メディアによる報道に不信感を持った人は多いと思います。僕もその一人です。そして、今回のオリンパスの事件ではそれが確信に変わりました。
テレビや新聞は大企業に弱い…。
もちろん、「ウソを報道する」わけではないですが、「あえて取り上げない」などの偏りのある報道はしょっちゅう起きています。今回のオリンパス事件でも、日本国内ではなかなか報道されませんでした。今回の粉飾総額は1100億円。恐ろしく巨額です。800億円の粉飾決算(5年で延べ2000億)をやったカネボウが倒産したことから考えても、重大さが分かります。
にもかかわらず、日本の報道機関はウッドフォード氏が解任された時も深堀りしませんでした。企業側の主張をそのまま流すような、プレスリリースの横流し報道ばかり。イギリスではこの時すでに大騒ぎになっていて、連日トップニュースで報じられていたそうです。しかし日本では2週間ほど遅れて粉飾疑惑が報道されるという遅さ。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?
それは、「経済部は広告費と特ダネに弱い」という法則があるからなんです。

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オリンパスの粉飾決算を独占スクープし、この翻訳記事を見たウッドフォード元社長が不正会計の調査を依頼するきっかけにもなったのは「月刊 FACTA」誌ですが、その記事を書いたのは山口義正さんという1人の経済ジャーナリスト。山口さんはこのスクープで第18回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞しました。
今回、同氏が執筆したオリンパス追跡と闘いの記録「サムライと愚か者」を読みました。
この先、この本が指摘する問題を何度も振り返ると思うので、自分なりにオリンパスに関して考えたことを自分の備忘録としてここに載せておきます。

1.オリンパスは浄化されたのか?
⇒いいえ。
昔ツイッターでもつぶやきましたが、経理・財務・監査・広報などに関する仕事をしている人間であれば、よっぽど下っ端の人間でない限り、この件は知っていた(またはうすうす気づいていた)でしょう。調査委員会の報告でも、「経営の中心部分が腐っており、その周辺部分も汚染され、悪い意味でのサラリーマン根性の集大成とも言うべき状態であった」という厳しい表現がされていますが、結局のところ不正に手を染めた(またはそれを見てみぬ振りした)社員は今でも経営の中心部に居座り続けているのです。
これで、オリンパスが浄化されたとはとても思えません。

皆さんは、オリンパスの元専務取締役である宮田氏が立ち上げた、こんなサイトをご存知でしょうか?

オリンパス・グラスルーツ(草の根)

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前回の記事では、「ダメな企画と分かっていてもなかなか止められないものだ」ということを書きました。
プロジェクトはスケジュールや期限が決まっているので、「今さらそんな議論蒸し返すなよ」とか「思いつきで言うのやめてよ」といった空気が常に流れています。だから、一人の感覚的な意見ではなかなか止められないという話でした。

『サンクコスト』という厄介者
サンクス(Thanks)コストではありません。サンク(Sunk)コストです。
これは「埋没費用」と言って、これまでにつぎ込んできたお金が次の意思決定に影響を及ぼす典型的な心理現象だそうです。池田信夫先生が、最近Twitterで解説してましたね。

例えば、あるカップルがUFOキャッチャーで大きなクマのぬいぐるみを取ろうと、1000円をつぎ込んだとしましょう。何度もトライしたおかげで少し山が崩れましたが、まだ少しかかりそうです。その時、恋人が突然言います。「このクマやっぱりいらない。良く見たらあんまり可愛くないもん」と言われてしまいます。

この場合、あなたならどちらの行動を取るでしょうか?

1.UFOキャッチャーを続ける
2.やめる


多くの人が、「ここまで1000円もつぎ込んだのだから、とりあえずクマを取ろう」と思っちゃいますよね。冷静に考えると、恋人はクマのぬいぐるみがもう欲しくないんですから、このUFOキャッチャーは本来の目的を失ってしまったわけです。でもここでやめてしまっては、これまでにつぎ込んだ1000円が本当に無駄になってしまいますよね。

この、「これまでにつぎ込んだ1000円」がサンクコストです。もし、1円もつぎ込んでいない状態でクマのぬいぐるみが要らないと言われたら、フレッシュな気持ちで「それならUFOキャッチャーやらなくてもいいか」という判断ができたはずですが、今のあなたは1000円も払ってしまったという過去の体験が「しがらみ」となって、どうしても継続的な判断をしてしまいます。

結果として、このカップルはさらに2000円をつぎ込み、欲しくもないクマのぬいぐるみを3000円もかけてGETしたのでした。あの時やめておけば、1000円の損で済んだのに。

まとめると、
「サンクコスト」=「これまでかかった埋没費用」=「しがらみ」 
なんですね。
この「サンクコスト」があるから、プロジェクトは途中でやめにくくなるのです。
前回の記事で、経営会議で違和感を覚えた役員はプロジェクトを止めるべきでした。でも、ここまで多くの費用や人手がかかっていて、もしプロジェクトをやめればそれらは全て水の泡になってしまいます。それを自分一人の感覚的な思いつきで止めてしまうというのは、相当な覚悟が要ります。役員といえどもなかなかできるものではないですよね。

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